Nanto Liquor 南島酒販 大岩氏インタビュー
南島酒販
代表取締役社長
大岩 健太郎
1982年 沖縄県南風原町生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、リョーショクリカー(現三菱食品)を経て、2007年に南島酒販に入社。2017年4月から現職。
南島酒販 Webサイト南島酒販のこれまで
南島酒販は、1979年に私の父・大岩馗一郎が創業しました。
1972年まで続いていたアメリカ統治の影響で、当時の沖縄はアメリカの食文化が浸透しており、お酒は泡盛よりもウイスキーの方が良く飲まれていたそうです。父は愛知県の出身ですが、沖縄伝統の泡盛の可能性を信じ、知られざる小規模蔵や離島の銘酒を紹介したり、高品質の泡盛を新たに開発したりと、情熱を注ぎました。そんな父のことを、泡盛ブームの火付け役と呼んでくださる方もいます。今ではすべての泡盛の蔵元と取引ができるまでになり、県外にも広くお酒を卸しています。
私は幼い頃から、酒屋の長男として、父の背中を見て育ってきました。2009年、父は64歳の若さで亡くなりましたが、泡盛への情熱と、蔵元との深いつながりを受け継いでいます。
泡盛の課題
私は南島酒販の社長として、そして沖縄に生まれた人間として、泡盛が持つ大きな可能性を信じています。
酒屋として、毎日世界中の様々なお酒を取り扱っていますので、それぞれの魅力は理解しているつもりです。その上で、泡盛はどれにも負けないほど、美味しいお酒だと思っています。
しかし泡盛の魅力が、なかなか伝わらないというのが、長年の課題でした。それは、かつて私が東京で働いていた頃にも感じていたことです。だからこそ、新しくつくる尚覚は、海外の方が飲んでも理解していただけるくらい、泡盛の良さを凝縮したものにしたいと考えていました。そして今回特にこだわったのは、アルコール度数と、お米です。
瓶内熟成の楽しさ
私が思う泡盛の最大の特徴は、瓶の中でも熟成が進むこと。時間が経てば経つほど、味がまろやかになっていきます。沖縄では泡盛が熟成することは常識になっていますから、子どもが生まれたときに泡盛を買って、20年後、成長した子どもと一緒にお酒を飲まれる家庭も多いと聞いています。
熟成で重要なのは、アルコール度数。度数が低いほど、水の割合が多いということなので、熟成による変化も少なくなってしまいます。尚覚は53度という、非常に高い度数に仕上げていますので、熟成による変化を楽しんでいただけるはずです。
希少な沖縄県産米を使う
泡盛は、タイ米を使ってつくられることがほとんどです。
ですが、私たちのプライドを込めて最高の泡盛をつくろうとしているわけですから、やはり沖縄で育ったお米は欠かせないと思っていました。
尚覚では、沖縄の伊平屋島という、大変美しい自然に囲まれた島のお米を使っています。沖縄県産のお米を使い、アルコール度数53度に仕上げるというのは、非常に高度な技術が必要なのですが、瑞泉酒造の皆さんはそれを叶えてくれました。
泡盛は沖縄の中だけでしかつくられていませんが、非常に多様なお酒です。小さな沖縄の中にあるそれぞれの酒造が、お米や麹、蒸留・熟成方法と、独自の工夫や技術を込めて、異なる味わいをつくりあげています。
そんな中で、私たちが考える最高の泡盛が完成したと思っています。ぜひ、楽しんでいただけたら幸いです。