Zuisen Distillery 瑞泉酒造 佐久本氏インタビュー

瑞泉酒造 佐久本氏インタビュー
瑞泉酒造 代表取締役社長 佐久本 学

瑞泉酒造
代表取締役社長
佐久本 学

1969年 沖縄県那覇市生まれ。関東学院大学を卒業後、沖縄銀行に入行。2002年に家業である瑞泉酒造に入社し、2012年から現職。2018年、沖縄県酒造組合の会長に就任する。

瑞泉酒造 WebサイトInstagram

瑞泉酒造のこれまで

瑞泉酒造は、130年以上の歴史と伝統を持つ、泡盛の酒造会社です。

古来、琉球王国では、酒づくりは王府の厳格な管理下に置かれ、首里城近くの3つの地区のみが製造を許されていたそうです。その歴史の流れを汲む瑞泉酒造は、1887年に喜屋武幸永が「喜屋武酒造所」として創業しました。後に佐久本酒造所と名前を変え、現在の瑞泉酒造に至ります。

戦時中の空襲で、かつて首里の町は壊滅状態になりました。瑞泉酒造も長年休業せざるを得ませんでしたが、営業再開の悲願を、三代目の祖父がやり遂げたと聞いています。

四代目が父、五代目が叔父で、六代目が私です。物心ついた時から泡盛が身近にある環境で育ち、県内・県外だけでなく海外にも泡盛の良さを伝えたいと、一生懸命頑張っております。

泡盛の楽しさ

ある方に、お酒の飲み方の違いを聞いたことがあります。

ビールは、喉でごくごくと味わう。ワインは、舌で味わう。そして泡盛のような蒸留酒は、飲んだ後に胃で味わう。口に含んで吸う香りではなく、吐く香りの方を楽しむのだと、そう話していました。

今回つくった尚覚は、53度という高い度数で仕上げています。米麹の旨味成分も多く残っていますし、ぜひハードな飲み心地を楽しんでいただけたらと思います。すぐに飲めばクリアで芳醇な甘みを感じられますが、蓋をしっかり締めておけば瓶の中で熟成が進んで、濃厚なコクとまろやかさを持ち始めます。

また保管するときは、冷蔵庫に入れないように気をつけてください。冷たいところに置いてしまうと、せっかくの旨味成分が固まってしまいますから。常温で、高温多湿でない場所がおすすめです。人間が過ごしていて心地よい場所に、尚覚も一緒に置いてあげてくださいね。

泡盛の文化を世界に

泡盛の文化を世界に

世界には、様々な蒸留酒があります。四大スピリッツと呼ばれるテキーラ、ウォッカ、ジン、ラムのほかにも、中国の白酒などがあげられますね。

それらに比べると、残念ながら泡盛の知名度はまだまだ低いです。泡盛の美味しさは、先代たちが試行錯誤して生み出してきたもの。その技術や魅力は、世界にも通用すると思っています。瓶に詰めても熟成が進んでいくのは、世界のお酒の中でも大変珍しい特徴です。

瑞泉酒造では、自社の製品だけでなく、泡盛全体の普及と啓蒙活動に力を注いでいます。沖縄の泡盛文化を広めて、世界中の皆さんに楽しんでいただくことが目標です。

沖縄で誕生した泡盛は、琉球王国の時代から、外交の道具として使われていたそうです。泡盛の美味しさは、当時から人と人とをつなげていたんですね。

尚覚を通して、楽しいコミュニケーションが生まれていくのであれば、本当に嬉しく思います。